上顎前突 症例

上顎前突 症例

 

第1症例 治療前 8歳8ヶ月

 

治療後 13歳11ヶ月

 

この患者さんには、次のような問題点がありました。

①上の前歯が前方に傾斜し、上顎前突を呈している。
②右上の側切歯は強く口の中の方に入り込んで、反対咬みとなっている。
③かみ合わせが深く、容易に上の前歯を中に入れることが出来ない。
④左右上下第2乳臼歯を虫歯で早く抜いてしまったため、その奥の第1大臼歯が前に倒れてきており、やや大きなスペース不足を生じている。

これらはいずれも簡単に治るものではなく、どちらかと言えば難症例に入ると思われました。

 

これらの問題のうち、①②③をビムラーで改善するため、毎日装着してもらいました。
協力性が非常に良かったこともあり、上顎前突状態は順調に改善され、中に引っ込んでいた右上側切歯も徐々に表に出てきました。
④の問題に対しては、S.L.A.などにより、不足していたスペースを取り戻すこととしたところ、大臼歯を後ろに押し戻すと、ガタガタに生えてきた小臼歯をきれいに並べることが出来ました。
14才の時点では、ほぼきれいな咬合となり、15才になる前に入院下で、智歯を4本とも抜歯、15才5ヶ月の時、全ての装置を外し、予後の観察に入りました。
 

第2症例 治療前 10歳8ヶ月


上の歯が8mm以上前方に突出し、また噛み合わせが深いために上の前歯を後に下げにくい(下顎の前歯がそのような移動をブロックしている)難しい症例でした。

治療後 17歳11ヶ月


ビムラーで噛み合わせを上げながら、上顎の前歯を後に下げて、上顎前突の症状を改善しました。また、下顎歯列に多少叢生が出てきたので、SLAで治療を行い、ほぼきれいな歯並びとなりました。エナメル質がとてもきれいに維持され、歯肉も健康的です。

第3症例 治療前 27歳2ヶ月


成人の女性で特に上顎歯列で強い叢生を伴う上顎前突症例で、噛み合わせも深く、どんな方法であれ、難しい症例と考えられます。上顎の歯列では左右第1小臼歯を抜歯し犬歯を後ろに移動しながら、前歯を後ろに下げるとともにねじれなども改善しました。
下顎歯列では小臼歯の抜歯は行わず(親知らずのみ抜歯)臼歯を後ろへ送ることによりスペースを作り、叢生(歯のガタガタ)を治しました。

治療後 38歳2ヶ月


難しい症例であるうえに、途中にお二人のお子さんをご出産したこともあり、長期かかりましたが、上顎前突は大きく改善され、SLAでかみ合わせが上がり、叢生もほとんど改善されました。歯根吸収や歯肉の退縮もなく、歯の健康が維持されていることにご注目ください。

保定中 治療後 1年5ヶ月


歯の移動が終わり、1年5か月経過しました。成人の場合、いくらSLAで治療したとしても、多少の後戻りのおそれはあるため、SLAを1年間はつけたままにして保定しその後も夜のみは保定装置を続けています。そのおかげで良好な歯並びが維持されています。かみ合わせもしっかりとバランスよく噛んでいます。