CASE

症例集

下顎前突(反対咬合・受け口)

下あごの前歯が上あごの前歯より前の方に出ている状態で、
下顎の骨が大きすぎたり、上顎の骨が小さくて後退していることもあります。
原因としては遺伝的要因が強いですが、必ずしもそうとばかり言えません。

第1症例 6歳4ヶ月→13歳11ヶ月

  • 治療前 6歳4ヶ月

    治療前 6歳4ヶ月

    骨格的な問題がやや強く、また上顎歯列では乳歯が綺麗に並んでいるので、永久歯が出てくると大きなスペース不足が予想された難しい症例でした。

  • 治療中 7歳1ヶ月~8歳4ヶ月

    治療中 7歳1ヶ月~8歳4ヶ月

    若年者の反対咬合では下顎骨の成長を抑えるチンキャップと上顎骨の成長を促進するSLAが当院ではよく使われますが、本症例ではビムラーの装置を就寝時のみ使用しました。7歳1ヶ月頃には徐々に反対咬合はよくなってきましたが、上顎中切歯が強く捻転して出てきましたが、8歳4ヶ月時にはビムラーの装置のみでこのように綺麗になりました。

  • 治療後 13歳11ヶ月

    治療後 13歳11ヶ月

    10歳0ヶ月時にビムラーの装置は終了し、その後はSLAで大臼歯に至るまで綺麗に歯を並べ咬み合わせもしっかりと作り14歳3ヶ月時にSLAを外し終了しました。しかし定期検査の際、15歳4ヶ月になって下顎骨の過成長が心配されたためチンキャップを就寝時のみ使用することといたしました。

  • 保定後 19歳0ヶ月

    保定後 19歳0ヶ月

    チンキャップのお陰で下顎骨の過成長を抑制でき、19歳0ヶ月でチンキャップも終了としました。長期を要しましたが、しっかりと咬める安定した大変に健康的な歯並びが得られました。

第2症例 16歳5ヶ月→25歳11ヶ月

  • 治療前 16歳5ヶ月

    治療前 16歳5ヶ月

    この女性は下顎骨が大きく前方位のため、強い前歯部反対咬合になっており、また上顎正中部にスペースもあり、外科的矯正も考えられる下顎前突でした。しかし下顎歯列にスペースがあったためこれを利用して下顎前歯を舌側に入れ、チンキャップにより残された下顎骨成長の成長を抑制し、SLAで上顎前歯を前方に拡大して、改善を行う事としました。

  • 治療直後 25歳11ヶ月

    治療直後 25歳11ヶ月

    症状が著しかったため、長期間かかりましたが前歯部反対咬合は改善し、上顎正中のスペースもそのスペースを左上に移動させブリッジで閉じることにより、閉鎖する事ができました。

  • 治療後 8年8ヶ月 34歳8ヶ月

    治療後 8年8ヶ月 34歳8ヶ月

    治療が終了し、長期経過しておりますが、歯列はほぼ安定し、反対咬合の再発も生じておりません。弱い力で治療を行ったため歯肉が下がる事もなく、また歯も健全に維持され、良好な治療結果が得られました。

第3症例 22歳8ヶ月→29歳4ヶ月

  • 治療前 22歳8ヶ月

    治療前 22歳8ヶ月

    初診時年齢22歳8ヶ月の下顎前突の患者さんで、ご覧のように前歯部に強い反対咬合と、上顎歯列では著しい叢生を伴っていました。また左下側切歯(2番目の前歯)が生まれつき欠損(先天性欠如)していたため、下顎歯列正中は左に2.5mm偏位しており、矢印で示す上下歯列正中線の偏位は約4mmにおよびました。このような状況の中で叢生と反対咬合の改善のため、上顎では左右第1小臼歯、下顎では右側側切歯を抜歯して治療を行う事としました。

  • 治療後 29歳4ヶ月

    治療後 29歳4ヶ月(写真は約1年保定後の30歳3ヶ月)

    反対咬合の状態が強かったためその改善には少し時間がかかりましたが、25歳6ヶ月時には写真のように反対咬合は改善し、上顎歯列の叢生もかなり改善されました。その後更に治療を続けましたが、右下犬歯の前方への傾斜が強くSLAのみでは改善が難しかったため下顎前歯部のみブラケットを装着し改善することとしました。29歳4ヶ月時には、もう少し治療が必要な箇所がありましたが全体としては相当の改善がみられたため保定に移行することを希望され、30歳3ヶ月に全ての装置を外し治療は終了となりました。このようにブラケットも有用な治療法で、SLAと併用する場合は一部の使用で済むため負担が少なくて済みます。

第4症例 19歳0ヶ月→35歳2ヶ月

  • 治療前 19歳0ヶ月

    治療前 19歳0ヶ月

    強い骨格性の問題に加え、著しい叢生や正中の偏位を伴うほぼ成人の下顎前突の症例でした。この程度の骨格的問題になると手術を併用する方法が一般的かも知れませんが、患者さんの本音としては避けたい方法であり、何とか全体的な改善は可能だろうと思われたため、抜歯を伴う矯正治療として開始しました。

  • 保定終了時 35歳2ヶ月

    保定終了時 35歳2ヶ月

    さすがに骨格的な問題や著しい叢生のために治療期間はかかりましたが、患者さんもよく頑張り、ほぼ良好な歯列にすることが出来ました。しかし本治療法では非常に珍しいのですが上顎犬歯と小臼歯部で歯肉の退縮が生じてしまいました。これはやはり骨格的問題が大きかったためと思われます。しかし歯根の吸収や虫歯の発生は見られず、今後適切なブラッシングに努めれば歯の維持は可能と思われます。

  • ポストリテンション1年3ヶ月後 36歳5ヶ月 

    ポストリテンション1年3ヶ月後 36歳5ヶ月 

    患者さんの希望によりSLAによる1年間の保定後は装置を全て外し、ポストリテンションに入りましたが、1年3ヶ月経過した時点ではほぼ安定していました。
    保定終了時の咬合チェックを見ると、やや左右のアンバランスはありますが、臼歯から前歯にいたるまで上下歯の接触があります。

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