CASE

症例集

叢生(乱ぐい歯)

八重歯のように歯がガタガタに入り組んでいるかみ合わせです。

第1症例 6歳5ヶ月→13歳8ヶ月

  • 治療前 6歳5ヶ月

    治療前 6歳5ヶ月

    下顎歯列の前歯(右下中切歯)が大きく捻じれているが、これは上下歯列の左右幅が上下とも平均値に比べ約5mm狭いことと萌出してきた歯が大きかったことによる。このままでは上顎歯列にも強い叢生の恐れがあるため、ビムラーの装置でゆっくりと歯列を広げることから治療を開始した。

  • 治療途中 9歳4ヶ月

    治療途中 9歳4ヶ月

    ビムラーの装置を就寝時に使用することにより3mm以上の歯列の左右方向への拡大が得られたが、右下中切歯の捻じれが治らなかったため、7歳10ヶ月時に下顎のSLAを装着し同歯の捻じれの改善を図ったところ、徐々に改善されてきた。10歳8ヶ月に上顎にもSLAを装着しビムラーの装置は中止し、上下歯列ともSLAで細部を矯正治療した。

  • Before

    治療終了 13歳8ヶ月

    12歳10か月頃、正中線(上下歯列の真ん中)の偏位や多少の叢生が残留していたものの全体としてはほぼ綺麗になり、それ以上の矯正治療は希望されなくなったため約1年間の保定をSLAで行い、13歳8ヶ月時に全ての装置を終了し、希望に従ってポストリテンション(装置を何もつけずに様子をみる事)に入った。

  • Before

    ポストリテンション6年半 19歳1ヶ月

    ポストリテンションに入ってから数か月~2年ごとに歯列の変化をチェックしたが、6年半経過時でも酷かった右下中切歯の捻じれも戻りはなく、歯並びはほぼ安定していた。歯並びの左右方向への拡大は、矯正歯科界では戻りやすいということが定説で(「8.治療後にできるだけ安定が得られる矯正歯科治療」参照)、本症例でも多少の歯列幅の変化がみられたが、全体としては歯列形態を維持していた。

第2症例 10歳4ヶ月→19歳4ヶ月

  • 治療前 10歳4ヶ月

    治療前 10歳4ヶ月

    この症例は女児であり、歯の交換も進んでいたので非抜歯で歯並びを治すのは非常に難しいと考えられました。SLAで第2大臼歯を後ろに送りながら、その反作用で側切歯を押しだし(後戻りの原因になるので、無理な歯列の拡大は避けました)歯並びの改善を試みました。

  • 治療後 19歳4ヶ月

    治療後 19歳4ヶ月

    わずかに上顎犬歯が入りきりませんでしたが、非抜歯でほぼ良好な歯並びにする事ができました。虫歯も作らず、歯茎も健康的で、咬み合わせも良好です。

  • 保定終了 4年目 26歳10ヶ月

    保定終了 4年目 26歳10ヶ月

    この写真は、保定装置を使わなくなって約4年が経過したところです。普通であれば初めの歯並びの悪さからかなりの後戻りがあっても不思議ではありませんが、ゆっくりと治療を進め、歯垢骨の成長を利用できたため(成長がゆっくり来ているタイプの女児だったと思われる)、安定に結びついたと思われます。

第3症例 10歳7ヶ月→16歳10ヶ月

  • 治療前 10歳7ヶ月

    治療前 10歳7ヶ月

    八重歯を主訴に来院された小学5年生の女の子でした。上顎歯列のスペース不足は7mm以上あり、非抜歯で治療するためには大きく歯並びを広げたり臼歯を後方移動する必要がありますが、この年齢になると成長期といえども歯並びが横に広がる成長はないため、歯並びを広げても非常に高い確率で後戻りする事が考えられました(歯並びの横への成長促進は乳歯がある間で慎重に行った場合にしか、叢生第1症例のように良好な結果は得られないと私は考えます)。そこで小臼歯を3~4ヶ月に1本ずつ計4本抜歯し、SLAで治療する事としました。

  • 治療後 18歳2ヶ月

    治療後

    経験則的に、同じ抜歯症例でも成人よりも10代の小児(特に小中学生)は順調に治療が進むように思われます。本症例でも16歳10ヶ月までの6年半ほど治療を行ったところ、左下の臼歯でやや咬み合わせが甘くまた下顎の前歯部で少し叢生が残りましたが、保定に入る事を希望され、ここまで治療することが出来ました。(写真は保定を終了した18歳2ヶ月)

  • 保定後約7年半 25歳9ヶ月

    保定後約7年半 25歳9ヶ月

    保定はSLAによりに約1年行い、この写真は保定が終了した約7年半後のものです。咬合の甘かった左下臼歯は更にしっかり咬合し、全体的に安定していました。矯正治療に伴う抜歯治療は、できるだけ避けたいものですが、一定以上の状況ではむしろ抜歯をする方がこのように術後の安定が得られると思われるため、必要な選択肢と私は考えています。

第4症例 18歳3ヶ月→28歳0ヶ月

  • 治療前 18歳3ヶ月

    治療前 18歳3ヶ月

    右上の側切歯が著しく内側に転位し、その分上下の正中線の偏位が大変大きく、上下左右にわたり乱れていない歯がないほど、著しい叢生を呈していました。

  • 保定後 1年 28歳Oヶ月

    保定後 1年 28歳0ヶ月

    叢生が著しかったため、その改善には時間がかかりましたが、右の開始から6年後の写真が示すように治療中に歯並びは徐々に良くなり(装置が見えません)、最終的にバランス良く整えられ、正中線も一致しました。歯肉の退縮もほとんどなく、最初の歯並びからは考えられないほどきれいな歯並びになりました。

    24歳1ヶ月
  • 保定終了 3年目 31歳6ヶ月

    保定終了 3年目 31歳6ヶ月

    28歳半のころご出産され、夜中にも3時間毎の授乳があったりと忙しく、その頃からリテーナーは全く使わなくなったそうです。つまりこの写真は保定終了後約3年になりますが、ほとんど後戻りが見られず、SLAによる治療が如何に安定しやすいかを理解できると思います。(多少の後戻りを示す症例もあります)。

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