OUR TREATMENTS

当院の治療法

伊藤矯正歯科医院は1991年に開業して以来、この地域では珍しい矯正歯科専門歯科医院として多くの患者さんに矯正歯科治療を提供してきました。このように長きにわたり皆様にご支持を頂けたということは、我々が開業以来目指してきた“こだわりの矯正歯科治療”が決して間違っていなかったという証しになるのではないでしょうか。その“こだわりの矯正歯科治療”はこれまでがそうであったように、これからも皆様に愛され続ける事と私は信じて疑いません。その我々が目指してきた矯正歯科治療とは次のようなものです。

私はこのようなできるだけ望ましい矯正歯科治療を目指して30年以上矯正歯科治療を専門に行い、多くの症例でこれらの目標をほぼ達成してきた一方でそれを達成することの難しさも骨身にしみて感じてきました。正直な所、あまりに難しい症例や患者さんが早めに治療を終了を希望した時は、これを実現できなかったと言わざるを得ないでしょう。そのため次の点(A, B)については、患者さん自身が注意し治療法選択の一つの指標としてください。

A.治療期間は当院の調査にあるような期間がかかります。治療前に将来的に遠方へ移動しないかや転居の可能性がないかをよくお考え下さい。(来院間隔は約1ヶ月に1度ですから、大阪辺りであれば通院される方もいます。)

B.骨格的問題が大きすぎるが外科矯正*を希望されなかったり、治療は途中でも自己が満足され終了すると望ましいレベルまで治療が到達しない場合もあります。(*外科矯正:外科手術により、顎の骨のバランスを整える矯正治療。)

バランスの取れた、しっかり咬める、そして出来るだけ安定した矯正歯科治療を提供することはとても難しいものですが、治療結果の良否に関わらず治療が終われば術者はその患者さんの歯をみる事は殆どなくなる一方で、患者さんはその「歯並び」を一生使い続ける事になるます。そのため出来るだけ良好な歯並びを完成するように、ここに挙げた「1~11」を矯正専門医の「使命」あるいは「意地」として忘れずに治療にあたっており、その結果の一部を症例集で提示しております(別ページに諸費用も掲載)。是非ご覧頂き当院の治療法ご理解を頂ければ幸いです。

Point 01

できるだけ痛みを伴わない矯正歯科治療

矯正治療は一般的に痛みを伴いますが、これは強い矯正力により、歯の周りの血流が止められ組織が「壊死」するためです。当医院では「弱い力」を歯にかけるので、痛みが殆どありません。

痛みについて:痛みはVisual Analogue Scale, VASで計測され、「0:まったく痛くない」から「10:考えられる最高の痛み」までの10段階で表します。報告によると「ブラケット法は7程度」「アライナー矯正は4程度」と言われますが、「SLAは1.4(当院の調査による)」である事が証明されています。

VASスコアー

0(全く痛くない)~
10(考えられる最大の痛み)を表す

Point 02

できるだけ外から見えない矯正歯科治療

当医院では主に「SLA(Soldered Lingual Arch)*」という特殊な装置を歯の裏側に使用して矯正しますが、歯の裏側に装置があるため外から見られることはありません。またSLAは臼歯に固定されるので患者さんが取り外すことはできませんが、装置にすぐに慣れてしまうので違和感は全くと言っていいほどありません。逆に取り外しの手間がなく、食事もSLAをつけたままで普通にできるので、日常生活に支障をきたす事がなく快適です。症例によっては他の装置を使用し、やむを得ず歯の表側に装置のワイヤーが出てくることもありますが、殆どの場合に就寝時のみの使用であったりワイヤーがとても細いものだったりしますから目立ず、生活の快適性が維持されます。

* SLA(Soldered Lingual Arch)は鈴木信夫歯学博士によって開発され、50年以上にわたる歴史があります。その開発コンセプトは、矯正治療でよくみられる副作用をできるだけなくし安全で健康的に矯正治療を行おうというもので、即ち矯正治療に伴う虫歯や歯根吸収、歯肉の退縮や疼痛をできるだけ発生させないという、極めて医学的な治療法です。当院では殆ど全ての症例で使用され、非常に多くの良好な結果を出してきましたが、使用法が難しく熱意のある歯科医師でなければ使いこなせないため普及していませんが、その使用法を広めるべく「SLA Bimler研究会」は2024年に創立10周年を迎え、その信頼性を伺い知ることができます。

SLAについてはトップページ下のMOVIEにある「当院で多用されるビムラーの装置とSLAの説明動画」で詳しくご覧になれます。

SLA(Soldered Lingual Arch)
SLA(Soldered Lingual Arch)
SLAは歯の裏側にありますから、外から見えません。
SLAは歯の裏側にありますから、外から見えません。

Point 03

矯正歯科治療矯正装置によるむし歯をできるだけ作らない矯正歯科治療

矯正装置によりできたむし歯
矯正装置によりできたむし歯
健康的な歯の維持が大切です
健康的な歯の維持が大切です
ビムラーの装置
ビムラーの装置

矯正歯科治療にはいくつかの副作用がありますが、その一つに矯正装置を付ける事により歯垢(歯の汚れ・プラーク)がたまり、むし歯になってしまう事があります。当院で小児によく使うビムラーの装置は就寝時のみに使用する装置なので、歯垢がたまる事はありません。

SLAは歯の裏側につける装置ですが、歯の裏側は唾液の量が豊富で、また舌の動きでも自然に汚れが取れるため、虫歯になる恐れは極めて少ないです。

その他の装置もむし歯を作らないよう十分に配慮されているため、当院の矯正治療によりむし歯になることはまずありません。

ビムラーの装置についてはトップページ下のMOVIEにある「当院で多用されるビムラーの装置とSLAの説明動画」で詳しくご覧になれます。またビムラーの装置に使われるワイヤーはドイツから輸入され、日本の薬事法では認可されていません。しかしヨーロッパで使用するための基準(CEマーキング:欧州適合性マーク)はクリアしており、安全性に問題はないと思われ、実際これまでに問題は発生していません。

Point 04

矯正治療による歯の根っこへの悪影響が殆どない矯正歯科治療

実は矯正歯科治療には強い副作用(副反応)があり、その一つは歯根が短くなること(歯根吸収)です。その頻度は決して低くなく、原因は一般に矯正治療で過大な力を用いるためと考えられます。折角歯並びが良くなっても、歯根が短くなり口腔の健康が脅かされては矯正治療を行った意味がありません。

当医院では下のグラフように歯根吸収の割合は極めて低い事が分かっており、その理由は弱い力で矯正するためと考えられます。

(歯根吸収の頻度をあらわすグラフについて:グラフ中の「某調査①②」が示すように一般的に約半数の歯根に明らかな吸収が生じますが、当院では約2%程度で、その殆んどは軽度なものであることが調査から分かっています。)

SLAと他の矯正法による歯根吸収率の違い

Point 05

矯正治療よる歯周組織への悪影響が殆どない矯正歯科治療

A:上顎左右の側切歯に歯肉退縮がみられる
A:上顎左右の側切歯に歯肉退縮がみられる
B:治療前
B:治療前
B:治療後も健康的な歯肉
B:治療後も健康的な歯肉
A:上顎左右の側切歯に歯肉退縮がみられる
A:上顎左右の側切歯に歯肉退縮がみられる
B:治療前
B:治療前
B:治療後も健康的な歯肉
B:治療後も健康的な歯肉

矯正歯科治療のもう一つの副作用(副反応)に歯肉が下がること(歯肉退縮)があります。

上に示す「A」の症例は通常の矯正治療を受けましたが、上顎左右の2番目の歯(側切歯)に歯肉退縮がみられ、1番目の歯(中切歯)より歯頚部(歯と歯肉の境目)が高くなっています。これは歯肉退縮と呼ばれ、あまり望ましい歯肉ではありません。

なぜなら歯肉が退縮すると、歯を支える骨(歯槽骨)も退縮してしまい歯の支えが弱くなるからです。しかしSLAで治療したBの症例をみると、治療前には著しい歯のガタツキがありましたが、治療後も側切歯の歯頚部は中切歯のそれより低くなっており、健康的な歯肉を維持しています。なぜSLAは健康な歯肉を維持できるかといいますと、それはSLAは1回当たりの歯の移動量がとても小さいからです(「歯はどのようにして動くのでしょうか?」参照)。

これにより歯の移動速度は遅くなりますが、痛みや副作用が極めて小さくなり、健康的な歯と歯周組織が維持されます。

最近では芸能人の歯並びはとても綺麗になりましたが、よくみると部分的に歯肉は退縮している人もいるので、歯周組織の健康さもとても大事です。

(私はSLAによる矯正治療をその考案者鈴木信夫先生に直接教えて頂きましたが、その数ある教えの一つがこの「中切歯と側切歯の歯頚部の形にまで注意する事」でした。正直な所、ここまで注意を払った矯正治療を私はみたことがありません。)

Point 06

違和感がなくできるだけ口腔機能に支障のない装置による矯正歯科治療

違和感がなくできるだけ口腔機能に支障のない装置による矯正歯科治療

当院が主に使用する「SLA」は、基本的にそれぞれの歯に接触するようにデザインされるため、結果的に舌の動きへの支障が最小限となり、食事や会話への影響が殆どありません。

近年では透明な材質で作られたマウスピースのようなもので治療を行う方法(アライナー矯正)が人気ですが、着脱の手間があったり歯並び全体にかぶさっているため不快感があると思われます。しかしSLAは固定式の装置で着脱の手間もなく、また装置がとても細く小さいので装着後はすぐに装置に慣れてしまい、逆に時々治療のために装置を外すと装置のない事の方が違和感を感じるほどです。

Point 07

患者さんが成長期の場合はできるだけ成長を重視する矯正歯科治療

6歳 5ヶ月
6歳 5ヶ月
13歳 7ヶ月
13歳 7ヶ月
17歳 0ヶ月
17歳 0ヶ月

矯正歯科治療は大人になっても出来ますが、小児期にする方が成長を利用できて、永久歯を抜かずに治療ができたり治療後の安定にも有利に働いたりします。

しかし成長は長期にわたるため術者も患者さんも辛抱強く治療に当たらなくてはならなかったり、成長のマネージメントは決して簡単ではないため特殊な技能が必要であったりするため、敬遠されやすいです。

しかし当院で治療したこの症例では、ビムラーの装置を就寝時に1年4ヶ月間使用して適切な力で歯列をゆっくりと拡大しSLAで歯列を整えたところ歯を抜かずに治療でき、全ての治療が終了し約3年半が経過した17歳時でも術後の後戻りは少なく安定した結果を得られました。このように歯並びの健康を維持するため、手間暇がかかっても成長を重視して、美しい歯列を作り上げていきます。

Point 08

治療後にできるだけ安定が得られる矯正歯科治療

26歳 治療前
26歳 治療前
35歳 治療直後
35歳 治療直後
41歳 治療後6年
41歳 治療後6年

矯正歯科治療の終了後に安定が得られるか否かはとても難しい問題で、矯正治療の先進国アメリカでも決定的な方法は考え出されていません。

しかしこの症例ではSLAを用いて矯正治療を行い、治療後は1年間だけSLAで保定(SLAを入れたままにして歯は動かさず安定化を図ること)した結果、5年の間何もしませんでしたが、歯列はかなり安定していました。

治療期間は、SLAは弱い力で矯正するため26歳から35歳まで9年かかりましたが、一般の矯正治療ではこのような成人矯正の場合後戻りのないように歯の裏側に針金を貼り付けて固定してしまうことが多いので、通常の矯正治療よりは安定性が高いといえるのではないでしょうか。

(正直なところ当院の治療でも、治療後の結果が全く変わらないということはありません。なぜなら人の体は年齢と共に髪の量や皮膚の状態が変わるように、矯正治療を受けたことのない人の歯並びも5年、10年、20年とみていくと変化するからです。変化を最小にするためにはSLAを外した後は、就寝時のみ後戻りを防止する装置(保定装置)の使用をお勧めします。)

Point 09

できるだけしっかりとした咬み合わせが得られる矯正歯科治療

1~2年で治した歯並びでは、しっかりした噛み合わせが出来ないことが研究報告から明らかになっています。
歯で一番大切なことはよく噛めることです。当医院では歯に無理の少ない矯正を行う結果、より緊密な噛み合わせがつくられます。

自然に綺麗にでき上った歯並びでは臼歯は隙間なく噛んでます。
当院の治療ではほとんどの場合に自然に近い噛み合わせがみられます。(下記調査参照)
矯正歯科雑誌にあった同様な写真。
かなり噛んでますが隙間があります。
(矯正臨床ジャーナルJOP2010年4月号)

咬み合わせの調査:上下間臼歯がコンタクトしているポイント数の調査をみると、過去の報告では平均11.2ポイントだったのに対し当院では25.4ポイントあり、明らかによく噛んでいることが分かりますした。

抜歯症例の上下間臼歯のコンタクトポイント数

Point 10

できるだけ自然に近い理想的な形状の歯並びを作る矯正歯科治療

治療前
治療前
治療後
治療後
SEAS

SLAによる矯正治療は、SLAの開発者である鈴木信夫先生の考案された歯列の対称性を調べる方法(SEAS)で確認しながら歯列形態を調整し仕上げていくので、極めて仕上がりが理想的でバランスの良い歯並びが出来上がります。歯科の教科書に出ている天然の理想的な歯並びはガタツキがないばかりではなく左右も対称的でバランスがとても整っています。

SEASを使うと歯の位置のコンマ何ミリかのずれも検出されるため非対称性が分かりやすく、その修正により理想的歯列に誘導する事が出来ます。ここまできちんと歯を並べられる治療法は珍しいでしょう。

Point 11

治療中に患者さんが歯や歯周組織の大切さを知り
生涯にわたる口腔のセルフケアができるようになる矯正歯科治療

治療前 11歳
治療前 11歳
治療後 18歳
治療後 18歳
ポストリテンション* 17年
ポストリテンション* 17年

矯正歯科治療は乱れた歯並びをバランスよく整える治療ですが、その治療には少なからぬ時間がかかるため、その期間を利用して自分の口腔内のセルフケアができるよう指導していきます。

歯のブラッシングはキチンと行うのは意外と難しいものです。また甘いものをできるだけ避け、よく噛んで食べるなど健康な歯を維持する習慣を作られるよう指導します。ただし、それらを実践するのは患者さん自身ですから、積極的な参加が必須です。

*:ポストリテンションとは治療段階の最後のステージで、保定(歯を移動した後一定期間、取り外し式などの装置で歯並びの安定化を図る段階)のあと全ての装置を中止し、歯が本当にきちんと治ったか確認する段階。本症例では17年後でもかなりの安定がみられている。

その他

遠方からでも安心して通院できます。

当院の矯正治療の来院間隔は、殆どの場合約1ヶ月に一度ですから、頻繁に来院する必要はありません。その間に歯の移動が進んだりそれにより生じる組織の変化を安定化させたりしますから、その程度の来院間隔であれば、遠方の方もあまり負担なく通院が続けられます。実際に名古屋市や岐阜市をはじめ下呂市や中津川市から当院の治療を求めで来院される方もみえ、治療を最後まで続けられています。

A

治療期間について

治療期間
治療期間

グラフ説明:

当院で治療を開始された患者さん約200人の調査。これによると約半分の患者さんは約6年ほどで治療は終了し、約20%程の患者さんは3年で治療を終了されています。即ち約3/4の患者さんは約6年未満で治療を終了しています。

但し困難な症例を中心にそれ以外の患者さんは10年ほど期間がかかっています。いずれも治療後は約1年の保定(治療後暫くは後戻りしやすいので多くの場合SLAをつけたままにしておくこと。)を行っていますが、その間は3~4ヶ月に一度の来院となります。それまではおおよそ月に1度の来院が必要です。

できる限り望ましい歯並びにするために1~11の目標に従って治療を行う結果、ここに示す当院の調査にあるような期間がかかります。いたずらに急いで矯正治療をしてもしっかり咬めなかったり後戻りをしてしまっては意味がありませんから、このような期間は当院の治療を行うたまには必要となります。

しかし初診でもこのような説明を必ず行った結果、当院で初診を受けられた方の約80%の方は納得されて治療を開始されています。

B

望ましいレベルまで治療が到達しない場合もあります

治療前
治療前
3年後
3年後

治療開始前は著しい叢生があり、抜歯を伴いながらSLAによる治療を行いました。3年経過時に治療は途中でしたが歯のガタツキはかなり改善され、納得されて終了となりました。その背景にはこの方が男性であることや、3年が経過すると治療継続のための費用が必要な事があったかもしれません。

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