TOOTH MOVEMENT

歯はどうして動くの?

当たり前のことですが、ガタガタの歯並びを治すためには、歯を動かさなければなりません。

以下では図を使って歯の組織や歯がどうやって移動していくかを細かく説明していきます。

歯は、図のようにいくつかの組織に支えられています。歯が移動する時に特に大切な組織は「歯根膜」という組織です。

歯根膜は歯と骨の間にあり、いつもは歯にかかる咬合圧を受けるクッションの役をしています。

しかし、歯に矯正力をかけると、歯を移動させるような作用もあらわします。

その時の様子を図に表しますが、下の図①「弱い力」を加えた場合と、図②「強い力」を加えた場合では、組織の反応に大きな違いが現れます。

図1 弱い力の場合

歯に力を加えると、力を加えた方向の歯根膜が圧迫されます。(これを圧迫側と言う)反対側では、歯根膜がのびて牽引されます。(これを牽引側と言う)圧迫側では、歯根膜内に、破骨細胞と言う細胞が現れ歯槽骨を吸収して、歯根膜は修復されていきます。

反対側の牽引側では歯槽骨表面に骨芽細胞という細胞があらわれ、それらが、新しい骨を添加していき、歯根膜を元の幅まで戻します。

この骨の吸収の仕方を「直接性吸収」と言います。この場合、歯の移動はゆっくりとなりますが、痛みや歯の動揺は少なく、不快感を抑えることができます。

図1 弱い力の場合

図2 強い力の場合

圧迫側の歯根膜内の血管は、強い力で押しつぶされて、その部分の血流がなくなってしまいます。そのため、その部分の歯根膜は壊死してしまいます。(図②左の赤色の部分)しかし歯根膜は必要不可欠なため、次のように修復されます。

  • 01

    歯根膜内に破骨細胞が現れることが出来ないため、歯槽骨内に、破骨細胞があらわれ、①の場合とは逆の方向から骨を吸収し、壊死した歯根膜に到達します。

  • 02

    壊死組織を別の細胞が吸収します。

  • 03

    吸収の後、再び歯根膜を再生します。

このような吸収の仕方を「穿下性吸収」といいます。この場合強い痛みを伴い、歯もぐらぐらと揺れます。

図2 強い力の場合

一般的な矯正では治療を早く進めるため、「強い力」を歯にかけやすいのですが、当医院では「弱い力」で治療を進めます。
その結果、痛みは少なく安全に治療が進められます。

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